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東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第330回定期演奏会 2020年1月18日 東京オペラシティ コンサートホール

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第330回定期演奏会 2020年1月18日 東京オペラシティ コンサートホール

高関健&シティ・フィルが充実を明示する好演を展開。
  • 柴田克彦
    2020.01.27
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 高関健が常任指揮者に就任して5年、東京シティ・フィルは稀代のオーケストラ・ビルダーのもとで着実に実力を高め、毎回密度の濃い演奏を展開している。機能性も目に見えてアップしているが、皆の音楽に対する気構えがいい。1つ1つの音をないがしろにせず、全力で音楽を表現しようという姿勢が感じられるので、コンサートに足を運んだ甲斐が確実にある。
 この日は、2019年に生誕100年、2020年に没後30年を迎えた日本オーケストラ界の育ての親、渡邉曉雄へのオマージュ的なコンサート。渡邉が発案した邦人作品委嘱企画「日本フィル・シリーズ」によって生まれ、渡邉の指揮で初演された、現代日本音楽の古典的名作が2曲と、フィンランド人を母に持つ渡邉が終生力を注いだシベリウスの代表作が披露される。前後半ともに濃密で歯ごたえのある、高関ならではの充実プログラムだ。
 1曲目の柴田南雄「シンフォニア」から、各音各フレーズが生きた雄弁な演奏。こうした“現代作品”を、曲の本質を保ちながら明快かつ生気に富んだ表現で聴かせるのは、容易ではないであろう。2曲目は矢代秋雄の「交響曲」(メインでも不思議ない同曲が前半というのも意欲的だ)。これまた隅々まで目配りの効いた真摯かつ抑揚に富んだ演奏で、古典的な側面、モダンな側面、さらには日本的な面やフランス的な面も隈なく表出し、同曲が日本を代表する名交響曲たることを見事に証明した。後半はシベリウスの交響曲第2番。丁寧に構築しながら音楽全体の感興も十全に表現した演奏は、渡邉曉雄を彷彿させる面もあるし、現在の高関&シティ・フィルの佳き特徴を表してもいる。
 かくして充足感の高い公演を堪能した。が、、、お客さんが少ない。原因は1つではないであろうが、物理的に明白なのは土曜の午後にオーケストラ公演が集中していること。この日も、エッシェンバッハ&N響、上岡敏之&新日本フィル、小林研一郎&日本フィルの各定期と、神奈川フィルの音楽堂シリーズが同時間帯に行われている。昨年11月の土曜には在京8オーケストラが全て演奏会(自主公演だけではないが)を開いた日もあった。かなり前から言われていることだが、これはどうにかならないものか……。各オーケストラにそれぞれファンがついているし、例え重なろうとも土曜の午後に断然お客さんが集まるとの考えも根強いだろうが、オーケストラ好きが複数の公演をあきらめざるを得ないのもまた事実。5つの内3つは金曜にも同じ公演を行ってはいるのでそこに1つ回したとしても、3公演は絶対に聴くことができない。実際筆者も、物凄く聴きたかった上岡&新日本フィルを泣く泣くあきらめた。しかし解決策が思いつかない。正直に言って、名曲コンサートはともかく、定期演奏会を別の曜日(特に月曜~水曜)に行うのが一番の解決策なのだが、民間の団体がそんなリスクをしょえるのか? オーケストラ連盟などが一括管理して配分する手もあるが、権限を行使できるかどうか疑問だし、できたとしてもホールどりや指揮者などのスケジュールの問題が絡むので至難を極めるだろう。首都圏全ホールの計画を調整する大プロデューサー的な人がいるといいが、これはもっと有り得ない。やはりどこかに思い切って曜日変更(せめて日曜午後とか)してもらうしかないか……。
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