【アーカイブ】新国立劇場の名演を振り返る|プッチーニ「ラ・ボエーム」&ストラヴィンスキー「夜鳴きうぐいす」レビュー

【アーカイブ】新国立劇場の名演を振り返る|プッチーニ「ラ・ボエーム」&ストラヴィンスキー「夜鳴きうぐいす」レビュー

日本が世界に誇るオペラの殿堂、新国立劇場(New National Theatre, Tokyo)。

世界的な演出家や歌手を招聘し、数々の名舞台を生み出してきたその歴史の中から、特に評価の高かった公演のレビューをアーカイブします。

目次

青春の輝きと儚さ:プッチーニ『ラ・ボエーム』

『ラ・ボエーム』ってどんなオペラ?

19世紀パリを舞台に、詩人ロドルフォとお針子ミミの儚い愛を描いた青春オペラです。プッチーニの甘美な旋律が紡ぐ、永遠のラブストーリーとして世界中で愛されています。

項目内容
執筆者柴田克彦(音楽評論家)
演出粟國淳
美術パスクアーレ・グロッシ
管弦楽東京フィルハーモニー交響楽団
編集部

2003年制作のこのプロダクションは、新国立劇場で最も人気の高い演目のひとつです

柴田克彦氏のレビューより

柴田氏はレビューの中で、「歌手たちのアンサンブルの密度と、東京フィルハーモニー交響楽団の色彩豊かな響き」を高く評価しました。

特に第3幕、雪の降る関所での別れの場面における情感は「観る者の涙を誘った」と絶賛。粟國淳演出の美しさについても、「パリの街を俯瞰するような美術」と「丁寧な心理描写」が際立っていると述べています。

各幕冒頭で投影されるセピア色の映像が、「想い出」を連想させる絶妙な導入となっている

「冷たい手を」「私の名はミミ」など名アリアが満載の本作は、新国立劇場オペラ公式サイトで最新の公演情報をご確認いただけます。

幻想と色彩の対比:『夜鳴きうぐいす / イオランタ』

ダブルビルって何?

ダブルビルとは、1回の公演で2つの短編オペラを上演する形式のこと。2021年4月、新国立劇場ではストラヴィンスキー『夜鳴きうぐいす』とチャイコフスキー『イオランタ』という、ロシアの2大作曲家による珠玉の作品が同時上演されました。

項目内容
執筆者青澤隆明(音楽評論家)
公演日2021年4月4日〜11日
指揮高関健
演出・美術・衣裳ヤニス・コッコス
編集部

コロナ禍の中、リモート演出で実現した歴史的公演でした

青澤隆明氏のレビューより

青澤氏は、ストラヴィンスキーの初期作品が持つ「機械仕掛けの鳥と本物の鳥」という対比を、現代社会への鋭いメタファーとして読み解きました。

アンデルセン童話「ナイチンゲール」を原作とするこの作品では、皇帝が本物のうぐいすを追放し、機械仕掛けのうぐいすに夢中になる姿が描かれます。テクノロジーと自然、本物と偽物の関係性は、現代にも通じるテーマです。

また、チャイコフスキー最晩年の『イオランタ』について、青澤氏は「光を知らない盲目の王女」が愛によって世界を知る過程の音楽的描写を「光そのもののようなオーケストレーション」と絶賛しています。

2作に共通するテーマは「治癒」と「希望」。コロナ禍の日本に届けられた、時宜を得たメッセージだった

高関健の指揮は、19世紀末から20世紀初頭の音楽様式の差異を堅実に表現しながら、2作品に統一感を与えたと高く評価されました。

新国立劇場の最新公演情報は、新国立劇場オペラ公式サイトでご確認ください。

編集後記

新国立劇場は1997年の開場以来、世界水準のオペラを日本で体験できる貴重な場として、その役割を果たし続けています。

本アーカイブで紹介した公演は、いずれも日本のオペラ史に残る名舞台です。粟國淳演出の『ラ・ボエーム』は2025/2026シーズンの開幕公演としても再演され、世代を超えて愛され続けています。

※公演情報は記事執筆時点のものです。最新のスケジュールは新国立劇場オペラ公式サイトでご確認ください。

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この記事を書いた人

Medici Arts Guide 編集部のアバター Medici Arts Guide 編集部 舞台・芸術配信専門ライター

Medici Arts Guide 編集部 オペラ、クラシック、舞台芸術に造詣が深い専門ライター陣で構成。最新の動画配信(VOD)情報をはじめ、ライブ配信視聴ガイドなど、「劇場の感動を自宅で再現する」ための一次情報を発信しています。

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