ヴェルビエ音楽祭特集へ
ヴェルビエ音楽祭が帰ってくる。

ヴェルビエ音楽祭が帰ってくる。

ヴェルビエ音楽祭がまもなく開幕する。出演者もプログラムも連日豪華。7月16日から8月1日(現地時間)までのリアル開催で、オンラインでの配信もかなり充実している。
  • 青澤隆明
    2021.07.16
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 ヴェルビエ音楽祭が帰ってくる。といっても、スイス・アルプスは人間がどうあろうと、ずっとそこにあったわけだし、ヴェルビエ音楽祭は昨夏もオンラインにかたちをかえて開催された。「ヴァーチャル・ヴェルビエ・フェスティヴァル」と敢えて名乗ったのは、それこそ次の夏には「リアル」で帰ってくることへの強い期待と意志の表明でもあったのだろう。

 もう一年になると思うと、軽くショックも受けるけれど、去年の夏の出来事である。連日、というか日本との時差で連夜新しく配信されるコンサート映像に触れながら、ぼくも東京にいながらいろいろな刺激をもらったし、どんな状況でも音楽を愛する人たち、そうするしかない人たちの切実な気持ちに心を動かされもした。

 今年のヴェルビエ音楽祭をまもなくに控えて、このところ改めて過去の音楽祭映像をいくつも観たりしているのだけれど、こちらがオンラインで接していることは変わりがないとしても、演奏はだいぶ趣きや熱気が異なる。言うまでもないことだが、それはやはりコンサート・ライヴとスタジオ・ライヴの違いにかかっている。ライヴは聴衆とともに創り上げられてしまうもので、とくに音楽祭だけに祝祭的な雰囲気も自然と強いし、音楽を聴きにこの風土に集まってきた人たちの熱も、聴き入っている集中もみんな演奏者たちの音楽とともに、その音楽の時空を創り上げている。だから、音楽祭には独特の魅力があるし、ヴェルビエが美しい空気のなかにあることもやっぱりわかる。

 そろそろどこか遠出をしたいのに、なかなか思うようには行かないこの夏。気持ちのなかではふだん以上に旅をして、世界各地からやってくる個々人に混じった気持ちで、ヴェルビエ音楽祭も聴いてみようと思う。例年以上に力が入ったラインナップにみえるのは、それだけの渇望が音楽祭の情熱に宿っていたことの証だろう。開幕はもうすぐ。現地時間で7月16日から8月1日までの連日の祝祭。もちろん教育活動にも力が入っている。楽しみに待ちたい。
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