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The Bees Beat The Gunners!  - 大斉唱が歓喜を運び (青澤隆明)

The Bees Beat The Gunners! - 大斉唱が歓喜を運び (青澤隆明)

8月14日、プレミア・リーグ2021/22シーズンが開幕した。この夏から、サポーターをいっぱいに迎えて。歓喜は歌声とともに始まり、歌声とともに祝された。
  • 青澤隆明
    2021.08.16
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 一万人を超える人々が、“Hey Jude”を熱く歌っていた。スタジアムでの大斉唱だ。老若男女入り混じった群衆は、ビートルズ(The Beatles)ではなく、ビーズ(The Bees)のファンである。ロンドン西部のチーム、ブレントフォードのサポーターたちが、昨年完成した新しいスタジアムに詰めかけていた。プレミア・リーグには今季が念願の初登場、1946/47シーズン以来74年ぶりの1部リーグ昇格ということで、待ちに待った晴れ舞台だ。しかも、プレミア・リーグ2021/22の開幕戦、名門アーセナルとのロンドン・ダービーである。

 ヨーロッパ、とかくイングランドのフットボールのシーズンの始まりは、自宅で観ているぼくのような者にとっても、スタジアムいっぱいの大歓声と歌声で告げられる。しかも、それはストレートな斉唱なのである。ユニゾンの圧倒的な力が漲り、画面を通じて観ているぼくらまでも巻き込んでいく。とくにCovid-19以降、ようやくスタジアムに観客が、しかもフルに戻ってくるのだから、それは爆発的な喜びを歌い上げるほかないものだ。

 昨シーズンの終盤戦で、アンフィールドに限定的ではあれ一部コップのみんなが帰ってきて、“You’ll Never Walk Alone”を歌い上げているのをみれば、思わずたちまち涙ぐむのはごくごく自然な気持ちの流れだろう。リヴァプールは昨シーズン、とくにセンターバッグ陣をはじめとする主力の負傷離脱に苦悩したわけだが、それに加えて、屈指のサポーターをとともに歩んできたチームほど、がらんどうのスタジアムで試合をするのがじわじわと堪えないはずはない。それでもなんとか3位には残ったのは見事だった。

 さて、知らないチームのサポーターであれ、長年の宿願であるに違いない昇格を果たして、こんなふうにみんなで世代を超えてスタジアムを揺らすのを眺めていると、アーセナル・ファンの方にはわるいけれど、ブレントフォードにやはり気持ちが動かないことはない。果たしてゲームはなかなかうまくいかないアーセナルに対して、若手主体の初々しいブレントフォードが初舞台で健闘。結果、2ゴールを奪い、クリーンシートのまま、ホームそしてリーグ初戦を見事に飾った。まさに、“Then you can start to make it better”だ。 “ナーナーナー、ナナナッナー”である。
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