ブルックナー暦 - 没後125周年を迎えるまえに

ブルックナー暦 - 没後125周年を迎えるまえに

ブルックナー・カレンダーを眺めて、ふと思ったこと。
  • 青澤隆明
    2020.12.01
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 とくに気にせずに過ごしたが、10月11日がブルックナーの命日だった。1896年に亡くなった。誕生日のほうは9月4日で、こちらは縁あって覚えている。
 さて、『音楽の友』誌の新年号が送られてきて、その付録が作曲家の没後125年にあわせたブルックナー指揮者12人のカレンダーだった。あのひとやこのひと・・・みんなおじいさんだ。かわいそうなブルックナーのお顔はどこにもないが、きっとみんな知っているということなのだろう。
 カレンダーにはアントン・ブルックナーの誕生日と命日、それから交響曲の初演日が色づけてマーキングされている。それを眺めていて気づいたのだが、初演日の大半が偶数月で、やはり秋から冬にかけての出来事だった。
 10月に0番(命日の翌日)、5番、2番。12月は16日に3番、18日に8番、晦日30日に7番。それから、2月に9番、00番、4番。つまり、3月に6番、5月に1番を残すだけで、すべて偶数月に集中している。夏に集中して手を入れて秋以降に初演したとしても、11曲あるのに、たまたまだろうか11月にも、年明けだからか1月にもどの曲も当たらない。初演しかないわけではないにせよ、けっこうな偏りではある。
 それで、なにがわかるかというと、ただそれだけのことだ。星めぐりのことは、ぼくにはよくわからない。そうこうするうちにも師走に入って、この奇妙な2020年が過ぎようとしている。というそのことをただ嘆きつつ、ブルックナーの3、7、8番が、後の日本の第九みたいな日取りで12月後半に初演されていることを思い重ねて、がんばるぞーと力なく力んでみただけの話である。しかしそこはブルックナーのように粘り強く――。
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