モリコーネが亡くなった。

　エンニオ・モリコーネが亡くなった。少しまえに引退したと伝えられていた。モリコーネについては、ぼくが慌ててなにかを言う必要もない。さまざまな音楽を思い出して、大きな心に触れるだけだ。

　いま聴いているのは、『アリーナ・コンチェルト』というアルバムで、オーケストラとコーラスを自ら指揮して行った2002年からのワールド・ツアーのライヴ盤。鮮やかな大自然をまえにするみたいに、いまはただただ、ぼうっと聴いている。映画音楽の名曲の数々がモリコーネの手でオーケストラ音楽となって雄大な画布にストレートに広がっていく。いろいろな映画とその光の情景を渡って悠然と流れる大河のように思えてくる。