ヴィキングル・オラフソン 12/11(水)の演奏会を語る

ヴィキングル・オラフソン 12/11(水)の演奏会を語る

ヴィキングル・オラフソンが新日本フィルと共演する「トリフォニーホール・グレイト・ピアニスト・シリーズ トリフォニーホール《ゴルトベルク変奏曲》plus」(12月11日)のあらましを、ヴィキングル本人に語ってもらった。
  • 前島秀国
    2019.12.09
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現在来日中のピアニスト、ヴィキングル・オラフソンが新日本フィルと共演する「トリフォニーホール・グレイト・ピアニスト・シリーズ トリフォニーホール《ゴルトベルク変奏曲》plus」(12月11日)のリハーサルを、本日見学させていただいた。モーツァルト《ピアノ協奏曲第24番》のピアノの美しさは鳥肌モノだが、非常に精力的に指揮するヴィキングルの音楽作りにも感銘を受けた。
リハ終了後、来年予定されている新譜(今回の来日公演でも弾いたドビュッシーとラモー)のことなど、本人にいろいろ話を伺った。その詳細は別の機会に紹介することとして、明後日11日のプログラムについても簡潔に語ってくれたので、とりいそぎここに紹介しておく。
最初にバッハ《ゴルトベルク変奏曲》のアリアを弾いた後、ヴィキングル自身のトーク(通訳は井上裕佳子氏)をはさみ、バッハ《イタリア風アリアと変奏 イ短調》を演奏。この作品は《ゴルトベルク変奏曲》よりずっと以前に書かれた作品で、構造も《ゴルトベルク変奏曲》と酷似した変奏曲形式で書かれているが、現代ではなかなか演奏の機会に恵まれない隠れた名品である。
その後、演奏するベートーヴェンの《ピアノ・ソナタ第32番 ハ短調》の第2楽章は、ヴィキングルが「非常にバッハ的」と感じている変奏曲。そしてプログラム後半のモーツァルト《ピアノ協奏曲第24番 ハ短調》も、やはり第3楽章が変奏曲形式で書かれている。
つまり、これらの作品を並べることで、ベートーヴェンやモーツァルトにバッハが与えた影響、とりわけ《ゴルトベルク変奏曲》の影響を明らかにしていこうというのである。とても知的で刺激的なプログラムではないか。ベートーヴェンとモーツァルトの作品が、同じハ短調というのもミソである。
今回の内容は、トリフォニーホールのために特別に構成したプログラムなので、今後どこかで同じプロを再現することはないという。まさに千載一遇の機会となる水曜日のコンサート、先週の紀尾井ホールのリサイタルを聴き逃してしまった愛好家は、ぜひヴィキングルの実演に肌で触れていただきたい。

追記:今回のリサイタル・ツアーで演奏しているムソルグスキー《展覧会の絵》は、ホロヴィッツ編曲版にヴィキングル自身の編曲も加えたハイブリッド版。道理で音が普通と違ったわけだ!
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