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50年めのフレッシュ-沖澤のどかと神奈川フィルのニューイヤー

50年めのフレッシュ-沖澤のどかと神奈川フィルのニューイヤー

神奈川フィルハーモニー管弦楽団特別演奏会「ニューイヤー・フレッシュ・コンサート」沖澤のどか(指揮)LEO[今野玲央](箏)和田華音(ピアノ)悦田比呂子(ソプラノ)小田切一恵(ソプラノ)武田直之(バリトン)■ベートーヴェン/歌劇「フィデリオ」より序曲、宮城道雄/春の海(管弦楽版)、 藤倉大/竜(箏のソロ)、ショパン/ピアノ協奏曲第1番ホ短調Op.11より第3楽章、J.シュトラウスⅡ/喜歌劇「こうもり」(抜粋)(2020年1月9日、みなとみらいホール)
  • 青澤隆明
    2020.01.16
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 人知れず、時を重ねる。なにごとも、そういうものだろうと思う。

 神奈川フィルハーモニー管弦楽団が今年、2020年で創立50周年を迎える。おめでたい。ぼくと同い年なんだな。それで、新しい年のはじまりはフレッシュに。沖澤のどかの指揮で、色とりどりのコンサート。

 当の神奈川フィルの5倍、生誕250年を祝うベートーヴェンの「フィデリオ序曲」で幕をあけ、続いてはなんと宮城道雄の「春の海」を、ここ、みなとみらいホールと縁深い池辺晋一郎の管弦楽編曲で。箏の独奏は、LEO(今野玲央)。箏を替えて、ソロになって、藤倉大の「竜」を弾く。変わった奏法の工夫も凝らして、新しく聞こえる音表現を鏤めつつ織りなされていった。藤倉作品らしく、音がきれいによく鳴っている。それから、ショパン。和田華音のピアノで協奏曲第1番op.11の終楽章を。オーケストラまでエキエル版のようで、あまり聴きなれない感じのところも。
 
 沖澤のどかの指揮は、重心が確かで、和声に配慮しつつ、ていねいに振られていた。なにより自己演出とか不自然な力みとか、そういう余計なものをみせず、まっすぐと音楽に入っていくのがいい。この日はガラの性格だから、オーケストラの大曲はおあずけだが(それでも「フィデリオ序曲」はあった)、箏との協演、そしてピアノの協奏曲、それからコンサート後半には、シュトラウス二世の「こうもり」の抜粋も聴けて、歌ものが好きとみえる指揮者の適性も柔軟に示されていった。

 その「こうもり」、横浜シティオペラの顔役が中心で、ロザリンデ役を悦田比呂子、アデーレ役を小田切一恵、アイゼンシュタイン役を武田直之が演じて、すべてが日本語で歌われた。さすがに日本語の詞だとウィーンきっての音楽とは抑揚など合わせにくいようにも思われたが、演者が堂々とマンガチックに振舞うのに、沖澤の指揮がよく応じて場を沸かせ、オーケストラ単独での序曲やポルカも、しっかりと聴かせていた。
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