ベートーヴェンの誕生日に

ベートーヴェンの誕生日に

ベートーヴェンの249歳のお祝いに。◎CD「ベートーヴェン:6つのバガテルop.126、ピアノ協奏曲第1番ハ長調op.15」ピオトル・アンデルシェフスキ(pf、指揮)、ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン、2006&7年録音 (WPCS-12989)
  • 青澤隆明
    2019.12.16
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 そう言えば、きょうはベートーヴェンの誕生日だった。明日は、柳家小三治師匠の八十歳のお誕生日。ということにばかり気が向いていて、先ほどお風呂でようやく思い出した。

 お会いしたことのない人の誕生日を祝うのもどうかと思うが、ベートーヴェンはきょうで249歳。来年は生誕250周年でこの世もにぎやかになるのだろうけれど、12月生まれだから大半は--たぶん「第九」のほかのほとんどは--、実はその前祝いということになる。もちろんいいコンサートやレコーディングや研究についてはいつでも大歓迎だけれど、時流に乗るのもなんだかしゃくなので、ひとまずぼくは、あとひとつで250歳、という年のお誕生日を勝手にお祝いしてしまうことにした。

 それで、どの曲を思い出したかというと、いくつかあるのだけれど、さっき湯船につかりながら、さいしょに鼻歌みたいに歌っていたのは、「6つのバガテル」の最初の曲で、これをなぞっていくと、なんだかとてもいい気分になるのだった。

   頭のなかではけっこういい感じなのだけれど、鼻歌となるとやっぱりぼくの鼻歌にすぎなくなる。さっぱりしたところで、せっかくだから、もっといい演奏で聴こうと思うと、ぼくが手にとるのはどうしてもこのCDになってくる。最近、というか、じつは昨夜も北村朋幹の最新作で聴いたのだけれど、レコーディングでも、コンサートでも、ぼくがこの作品をこれまでいちばん多く聴いたのは、おそらくピオトル・アンデルシェフスキの演奏になる。
 
  そんなわけで、249歳のお祝いに、ぼくはいま深夜にアンデルシェフスキの弾く「6つのバガテル」op.126を聴いている。ベートーヴェンにも、もしも気が向くようなら、彼の演奏をどこかで聴いてほしいと思う。
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