2009年、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで日本人初の優勝を果たした辻井伸行。
2024年には名門ドイツ・グラモフォンと専属契約を結び、世界的ピアニストとしてさらなる飛躍を遂げています。
この記事では、辻井伸行の経歴から代表曲、最新アルバム、2026年のコンサート情報まで網羅的に解説します。
編集部演奏動画の視聴方法もあわせて紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
辻井伸行プロフィール|日本が誇る世界的ピアニスト
まずは辻井伸行の基本情報を整理します。



生い立ちから現在の所属レーベルまで、押さえておきたいポイントをまとめました。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名前 | 辻井伸行(つじい のぶゆき / Nobuyuki Tsujii) |
| 生年月日 | 1988年9月13日 |
| 出身 | 東京都 |
| 所属レーベル | ドイツ・グラモフォン(2024年〜) |
| 所属事務所 | エイベックス・クラシックス・インターナショナル |
| 公式サイト | 辻井伸行 公式サイト |
幼少期からピアノとの出会い


辻井伸行は、生まれつき目が見えない状態で誕生しました。しかし2歳のころ、おもちゃのピアノで自然に曲を弾き始めます。
その才能に気づいた母親が本物のピアノを買い与え、4歳から本格的にレッスンを開始。10歳のとき、大阪センチュリー交響楽団と共演してデビューを果たしました。
楽譜は「耳で読む」方法で習得します。



指導者がテープに吹き込んだ音を繰り返し聴いて暗譜し、1日8時間にもおよぶ練習を重ねてきました。
2024年ドイツ・グラモフォンと専属契約


2024年4月、辻井伸行は世界最古のクラシックレーベル「ドイツ・グラモフォン」と専属契約を締結。日本人ピアニストとしては初めての快挙です。
ドイツ・グラモフォン社長のクレメンス・トラウトマンは、契約発表の記者会見でこう語りました。
辻井さんがピアノから引き出すのは、驚異的なテクニックと深みのある豊かな音色に支えられ、聴く者の心に直接届く音楽です
この契約により、今後の新譜はドイツ・グラモフォンからリリースされます。過去にエイベックスから発売された約15本のアルバムも、DGから全世界で再配信されています。
辻井伸行の経歴|コンクール優勝から世界の舞台へ
辻井伸行のキャリアは、2009年のコンクール優勝を境に大きく飛躍しました。



カーネギーホール、BBCプロムスなど、世界の檜舞台での活躍を時系列で振り返ります。
2009年ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール優勝
辻井伸行のキャリアを語るうえで欠かせないのが、2009年6月のヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールです。
アメリカ・テキサス州フォートワースで開催されたこのコンクールで、辻井は日本人として初めて優勝を果たしました。
当時20歳。決勝では、ベートーヴェンの難曲「ピアノ・ソナタ第29番《ハンマークラヴィーア》」を披露しています。
2011年カーネギーホール・デビュー
コンクール優勝から2年後の2011年11月、辻井はニューヨーク・カーネギーホールでリサイタルを開催しました。
注目すべきは、これがカーネギーホール「主催」の公演だったこと。ホール側からオファーを受けた招聘公演であり、単なる会場レンタルとは格が異なります。
プログラムは「ラ・カンパネラ」「熱情」「展覧会の絵」など。約2,000人の聴衆がスタンディングオベーションで称えました。この公演の模様は、ドキュメンタリー映画にも収録されています。



「Touching the Sound ~不可能を可能にする辻井伸行の旅~」はWOWOWで視聴できます。
BBCプロムスへの出演


イギリス最大の音楽祭「BBCプロムス」にも2度出演しています。
2013年に初出演を果たし、2023年には10年ぶりに再登場。ドミンゴ・インドヤン指揮ロイヤル・リヴァプール・フィルと共演し、約7,000人の聴衆から喝采を浴びました。
ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールを埋め尽くす聴衆の熱狂は、辻井の国際的な人気を証明するものでした。
サントリーホールARKクラシックス アーティスティック・リーダー


2018年から、辻井伸行はヴァイオリニスト三浦文彰とともに「サントリーホール ARKクラシックス」のアーティスティック・リーダーを務めています。
ARKクラシックスは、若手演奏家が中心となって企画・運営する室内楽シリーズ。毎年9月に開催され、世界で活躍するアーティストたちが一堂に会します。
2024年からは「ARKフィルハーモニック」のレジデント・ピアニストにも就任しました。
辻井伸行の代表曲・レパートリー
辻井伸行の演奏を聴くなら、まずはどの曲から? ここでは彼の音楽性を象徴する代表曲を厳選して紹介します。



作曲家としての一面もお見逃しなく。
リスト「ラ・カンパネラ」
辻井伸行の代名詞といえば、リストの「ラ・カンパネラ」です。コンサートのアンコールで頻繁に演奏され、聴衆を魅了し続けています。
高音域での大きな跳躍、急速なパッセージ、鐘の音を模した繊細なタッチが求められます。
辻井の演奏は、技巧の誇示より「澄んだ空気の中で鳴る鐘の音」のような幻想的な響きが特徴。弱音の繊細なニュアンスは、彼が「音を聴くこと」に集中して音楽を構築している証です。
ベートーヴェン「ハンマークラヴィーア」
ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」は、辻井伸行にとって特別な作品です。
2009年のヴァン・クライバーン・コンクールで優勝を決めた曲であり、2024年のドイツ・グラモフォン・デビューアルバムにも収録されました。
辻井自身、「30代になってからは、音色の使い分けも徐々にできるようになった」と語っており、成熟した解釈で再録音に挑みました。
カプースチン「8つの演奏会用エチュード」
ニコライ・カプースチンの「8つの演奏会用エチュード」は、辻井伸行の技巧と音楽性の両方を堪能できるレパートリーです。
カプースチンは、クラシックとジャズを融合させたウクライナ出身の作曲家。この練習曲集は、ジャズピアノのイディオムをクラシックの形式に落とし込んだ難曲として知られます。
辻井は2018年のサントリーホール公演でこの曲を披露し、満員の聴衆を熱狂の渦に巻き込みました。その演奏は2022年にCD化されています。
自作曲|作曲家としての一面
辻井伸行は演奏家であると同時に、作曲家でもあります。
12歳で最初の作品「Street Corner of Vienna」を作曲。映画「神様のカルテ」やテレビドラマ「それでも、生きてゆく」のテーマ曲も手がけました。



2020年東京パラリンピック開会式では、自作曲「風の家」が使用されています。
主な自作曲
- 笑顔で会える日のために(2020年)
- 川のささやき
- 風の家
- 神様のカルテ(映画主題曲)
「笑顔で会える日のために」は、コロナ禍の2020年5月にYouTubeで公開されました。即興的に演奏された穏やかなメロディは、不安を抱える人々に向けたメッセージとして大きな反響を呼びました。
辻井伸行の最新アルバム・ディスコグラフィー
2024年、辻井伸行はドイツ・グラモフォンからデビューアルバムをリリースしました。



最新作の聴きどころと、これまでの主要作品を一覧で紹介します。
DGデビュー作『ハンマークラヴィーア、遥かなる恋人に』(2024年)


2024年11月29日、辻井伸行のドイツ・グラモフォン・デビューアルバムが全世界で配信リリースされました。
収録曲
- ベートーヴェン/リスト編曲:連作歌曲集《遥かなる恋人に》Op.98 / S.469(全6曲)
- ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第29番 変ロ長調 Op.106《ハンマークラヴィーア》
レコーディングは2024年7月、ベルリンのテルデックス・スタジオで行われました。
「ハンマークラヴィーア」はコンクール優勝時に演奏した作品の再録音。「遥かなる恋人に」は、リストがソロピアノ用に編曲したベートーヴェンの連作歌曲集です。
辻井は「詩に心打たれました。この表現力豊かな歌曲集とハンマークラヴィーアは良い相乗効果を生むと思ったのです」と選曲理由を語っています。
主要ディスコグラフィー
| 発売年 | タイトル | レーベル |
|---|---|---|
| 2024年 | ハンマークラヴィーア、遥かなる恋人に | ドイツ・グラモフォン |
| 2022年 | ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 / カプースチン | avex classics |
| 2019年 | 辻井伸行 plays ショパン | avex classics |
| 2018年 | ショパン:バラード全曲 他 | avex classics |
| 2011年 | 辻井伸行 カーネギーホール・デビューLIVE | avex classics |
| 2009年 | debut | avex classics |
過去にavex classicsからリリースされた旧譜は、2024年以降ドイツ・グラモフォンから全世界で再配信されています。
配信で聴けるサービス一覧
| サービス | 特徴 |
|---|---|
| Apple Music / Apple Music Classical | 高音質ロスレス対応 |
| Spotify | 無料プランあり |
| Amazon Music | Prime会員は追加料金なし |
| STAGE+ | DG公式、映像配信あり |
【2026年最新】辻井伸行のコンサート・出演情報
2026年も辻井伸行は精力的に活動しています。全国ツアーから特別公演まで、今後の出演スケジュールをまとめました。チケット購入の参考にしてください。
日本ツアー2026《抒情と熱情》(1月〜3月)


「大和証券グループ presents 辻井伸行 日本ツアー2026」が全国で開催中です。
ピアノの圧倒的な美しさと圧巻の熱演を堪能できるソロ・リサイタル。チケットは多くの公演で完売していますが、一部会場では残席があります。
主な公演日程
| 日程 | 会場 | エリア |
|---|---|---|
| 1/29(木) | 札幌コンサートホールKitara | 北海道 |
| 2/1(日) | iichiko グランシアタ | 大分 |
| 2/4(水) | 大宮ソニックシティ | 埼玉 |
| 2/14(土) | とりぎん文化会館 | 鳥取 |
| 2/17(火) | 松山市民会館 | 愛媛 |
| 2/26(木) | 横浜みなとみらいホール | 神奈川 |
| 3/8(日) | ザ・シンフォニーホール | 大阪 |
究極の協奏曲コンサート2026(3月)


辻井伸行と清水和音による「究極の協奏曲コンサート ラフマニノフ・スペシャル」が2026年3月に開催されます。
主な公演日程
| 日程 | 会場 |
|---|---|
| 3/17(火) | 府中の森芸術劇場 どりーむホール |
| 3/25(水) | トーサイクラシックホール岩手 |
| 3/26(木) | あきた芸術劇場ミルハス |
| 3/29(日) | 新潟県民会館 |
音楽と絵画コンサート《印象派》(5月)
2026年5月14日〜31日、「デロイト トーマツ presents 辻井伸行 音楽と絵画コンサート《印象派》」が全国で開催予定です。



最新情報は随時更新します。辻井伸行 公式サイトもご確認ください。
辻井伸行×三浦文彰 究極の協奏曲コンサート(6月)
2026年6月には、長年の盟友・三浦文彰との共演コンサートが予定されています。
| 日程 | 会場 |
|---|---|
| 6/8(月) | サントリーホール 大ホール |
| 6/9(火) | ミューザ川崎シンフォニーホール |
辻井伸行の演奏動画を視聴できる配信サービス



辻井伸行の演奏を映像で楽しむ方法は複数あります。
無料のYouTube公式チャンネルから、高画質の有料サブスクまで、目的にあわせて選びましょう。
無料で視聴できるYouTube公式チャンネル
辻井伸行の演奏を無料で視聴するなら、YouTube上の公式チャンネルが最も確実です。
公式チャンネル一覧
| チャンネル名 | 運営元 | 主なコンテンツ |
|---|---|---|
| Nobuyuki Tsujii | 本人 | 自作曲、カバー曲 |
| avex classics | エイベックス | ライブ映像、PV |
| medici.tv | medici.tv社 | 音楽祭アーカイブ |
STAGE+(ドイツ・グラモフォン公式)


ドイツ・グラモフォンが運営する「STAGE+」では、辻井伸行のサントリーホールリサイタル映像を視聴できます。
2024年5月に「辻井伸行 プレイズ・バッハ、ショパン&ラフマニノフ」がプレミア配信されました。4K HDR・ロスレス音質対応で、繊細な音色を堪能できます。
medici.tv(ヴェルビエ音楽祭アーカイブ)


クラシック音楽専門の配信サービス「medici.tv」では、ヴェルビエ音楽祭の映像がアーカイブ公開されています。
辻井の2022年デビューリサイタル、2024年の公演映像を視聴可能です。月額約9.99ユーロから。
より詳しい視聴方法は、こちらの記事で解説しています。


辻井伸行に関するよくある質問
辻井伸行について、読者から寄せられることの多い疑問をQ&A形式でまとめました。



師匠やチケットの取り方など、気になるポイントを解消します。
Q1:辻井伸行は全盲?いつから?
辻井伸行は、生まれつき眼球が成長しない「小眼球症」により、先天的に全盲です。
生後まもなく視覚障害が判明しましたが、聴覚の発達は著しく、2歳でおもちゃのピアノを弾き始めました。
Q2:辻井伸行の師匠は誰?
主な師事歴は以下のとおりです。



東京音楽大学付属高等学校を卒業後、上野学園大学演奏家コースに進学しました。
Q3:辻井伸行のコンサートチケットの取り方は?
チケットは以下の方法で購入できます。
人気公演は発売直後に完売することが多いため、ファンクラブや先行販売の利用がおすすめです。
Q4:辻井伸行と藤田真央の違いは?
どちらも世界で活躍する日本人ピアニストですが、音楽性には違いがあります。
| 項目 | 辻井伸行 | 藤田真央 |
|---|---|---|
| 生年 | 1988年 | 1998年 |
| 主な受賞歴 | ヴァン・クライバーン1位 | チャイコフスキー2位 |
| 得意レパートリー | ショパン、リスト、ラフマニノフ | モーツァルト、ベートーヴェン |
| 演奏スタイル | 叙情的、繊細な弱音 | 即興的、軽やかなタッチ |
Q5:辻井伸行の年収・ギャラは?
公式には非公開ですが、日本を代表するピアニストとして、年間100本以上の公演をこなしています。
チケット料金、CD・配信収入、テレビ出演、CM出演など、収入源は多岐にわたります。2024年のドイツ・グラモフォン契約により、グローバルでの活動基盤がさらに強化されました。
まとめ|辻井伸行が世界で愛される理由
辻井伸行の音楽が世界で愛される理由、それは「聴く者の心に直接届く」演奏にあります。
視覚に頼らず、音だけで音楽を構築してきた彼の演奏は、一音一音に深い集中が宿っています。技巧の誇示ではなく、作曲家の意図を真摯に伝えようとする姿勢が、国境を越えて聴衆の心を動かすのです。
2024年のドイツ・グラモフォン契約により、辻井伸行はさらなる世界へと羽ばたきます。2026年も全国ツアー、海外公演、新譜リリースと精力的な活動が続きます。



ぜひコンサート会場で、あるいは配信サービスで、その音楽に触れてみてください。
参考リンク









