2021年9月、英国リーズで開催された第20回リーズ国際ピアノ・コンクール(Leeds International Piano Competition)。小林海都(Kaito Kobayashi)が第2位を獲得し、世界中のピアノファンを沸かせました。
これは1975年の内田光子以来、46年ぶりとなる日本人歴代最高位という歴史的快挙です。

小林海都ってどんなピアニスト?
1995年横浜生まれ。マリア・ジョアン・ピリスに師事し、「音で人に何を伝えるか」を追求し続ける実力派です。本記事では、コンクールでの名演を公式アーカイブ動画とともに振り返ります。
セミファイナル:室内楽の真髄(ドヴォルザーク)



セミファイナルではどんな演奏をしたの?
小林が選んだのは、ドヴォルザークの「ピアノ五重奏曲 第2番 イ長調」。カザルス弦楽四重奏団との共演でした。
なぜ、彼のドヴォルザークは絶賛されたのか?
コンクールでは「自分がどれだけ弾けるか」をアピールしがちです。しかし小林は違いました。弦楽四重奏の音に耳を傾け、ピアノをアンサンブルの一部として溶け込ませたのです。



「聴く力」と「調和の精神」が審査員の心を掴んだのですね
特に第2楽章「ドゥムカ」での演奏が印象的でした。哀愁を帯びたピアノとヴィオラの対話には、単なる技術を超えた「音楽の会話」が存在していました。
この演奏が高く評価され、室内楽の最優秀演奏者に贈られる「ヤルタ・メニューイン賞」も受賞
ヤルタ・メニューイン賞(Yaltah Menuhin Prize)は、セミファイナルの室内楽で最も優れた演奏をしたピアニストに授与される賞です。小林は第2位入賞とあわせて、この栄誉ある賞も手にしました。
ファイナル:静と動の傑作(バルトーク)



ファイナルではどんな曲を弾いたの?
ファイナルの大舞台で小林が選んだのは、バルトークの「ピアノ協奏曲 第3番 Sz.119」。アンドルー・マンゼ指揮、ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団との共演でした。
難曲バルトークで見せた「色彩」と「爆発力」
バルトークが最晩年に書いたこの協奏曲は、透明感のある叙情と民族的なリズムが交錯する難曲です。コンクールの定番曲ではなく、あえて攻めた選曲といえます。



「定番曲」ではない選曲で勝負する姿勢が印象的ですね
小林は楽曲の持つ精神性を深く描き出しました。第2楽章の祈りのような静寂から、第3楽章の爆発的なエネルギーへ。鮮やかなコントラストと、打楽器的なピアノの響きをコントロールする技術は圧巻でした。
演奏終了後の万雷の拍手が、聴衆の感動を物語っています。ぜひ動画でその熱気を体感してください。
セミファイナルの「調和」とファイナルの「爆発」、両面を見せたことが高評価につながった
小林海都の現在地(2025-2026)



リーズ以降、小林海都はどんな活動をしているの?
リーズでの成功を経て、小林は着実にキャリアを重ねています。2023年にはバーゼル音楽院の修士課程ソリスト科を修了し、最優秀修士リサイタル演奏に贈られるBrambilla賞を受賞しました。
小林海都の主な受賞歴
| 2021年 | リーズ国際 第2位+ヤルタ・メニューイン賞 |
| 2023年 | バーゼル音楽院 Brambilla賞 |
| 2024年 | 浜松国際ピアノコンクール 第3位 |
2024年11月には、第12回浜松国際ピアノコンクールで第3位を獲得。国内外のコンクールで着実に実績を積み重ねています。



2025年のショパン国際コンクールにも出場予定ですよ
現在はスイス・バーゼルを拠点に、NHK交響楽団やベルギー国立管弦楽団など、国内外のオーケストラとの共演を重ねています。室内楽にも積極的に取り組む姿勢は、リーズでの経験が生きているといえるでしょう。
コンクールという枠を超え、一人の芸術家として成熟を続ける小林海都。2021年の記録は、その「原点」として何度でも味わう価値がある
ピリスから受け継いだ「音で人に何を伝えるか」という問い。小林はその答えを、これからも演奏で示し続けていくことでしょう。









